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UPA-AS ━━ウパース━━ 名前の由来【4】バルトがマリ子に託したメッセージ(2009.9.16) 2013.2.20

この記事は連続物語です。
今日初めてお読みになる方は、以前の記事を先ずお読みくださると話が分かりやすくなると思います。



   【1】ウッシーの想い出
   【2】バルトの想い出

   【3】光り輝く球体

















【4】バルトがマリ子に託したメッセージ(2009.9.16)



バルトやウッシー、その大きな存在がいなくなった後、私は居間に敷いてあった二人がかつて安らっていた何枚も何枚もあったクッションやタオルを全部綺麗に洗い、よくよく陽に当てて干しては取込み、干しては取り込むという作業を二日程続けた。

庭にクッションを干している間は、当然ながら居間にはクッションが何もなくなるわけなのだが、その居間に一人たたずみ眺め渡すに、そこは、何と広くて空虚な空間であるかということを、嫌と言うほど思い知らされた。

    
     私は、自分自身の為に生きていたいのではなかった。
     私は私の犬の為に生きていたかったのだが、
     その犬は二人とももうどこにもいない。

  

肩に降りて来た光り輝く球体の存在がまだかすかに残っているのが心の支えになっていた。

バルトが亡くなってから三日後の夕刻、やっと全てのクッションが完全に乾いたので、居間に取り込んで重ねておいた。
明日は全てを納戸にしまってしまおう・・・と考えながら。


そこへ突然、マリ子がサンマを4尾ぶら下げて我が家にやって来た。

   「一緒に食べよ~。」

と朗らかな笑顔を私に向けながら、そう言った。

    サンマ


マリ子というのは私より10歳くらい歳下で、もうかれこれ18年ほどの付き合いのあるとても可愛らしく細かい気配りのできる女性で、私を親しく思ってくれていて常々私を姉のように慕ってくれている人物なのだった。
マリ子はバルトと同じくらいの年回りの、これまたとてもチャーミングなメルモと言う名の黒いラブラドールの女の子と暮らしている。
このメルモはバルトの言ってみればガールフレンドのような存在であった。
メルモが我が家に遊びにくる度に、バルトはメルモをまるでお姫様のように扱い、バルトはメルモに恭しく付き従うしもべのようであったのを私達は微笑ましく眺めていた。

そのマリ子が持って来てくれたサンマを晩ご飯にして一緒に食べながら、マリ子がこう話し始めた。

実は、昨晩、マリ子がメルモと一緒に寝ていたら、寝室の隣の部屋からガサガサと布地を引っ掻くような音がするので目が覚めてしまった。
寝室に続く隣の部屋の障子はいつものように開け放してあるので、この音の原因は何かと思い、体は動かさずそ~っと目だけ開けて隣の部屋を確認してみると、そこにはメルモの犬用の茶色の円形のベッドの上に大きなウルフカラーのシェパードが乗っていて、一生懸命そのベッドを前足で巣作りするかのようにガサガサと引っ掻いているというのだ。
勿論、マリ子が一人住む家にメルモ以外の犬などいない。

     瞬間、「バルトに違いない」  と

マリ子は内心、ハッと驚いたが、その動揺を押し隠し見ていると、そのバルトらしきシェパードは穏やかな顔つきでゆっくりとマリ子の方へ頭部を回しマリ子の顔を見て、暫くして消えたのだと言うのだ。


余りに不思議な事を話し始めたマリ子に、私の方こそ内心ギョッとしたが、マリ子はバルトの事をよく知っている上にバルトが亡くなったその日には駆けつけてくれ夜を過ごし、次の日には荼毘に付すため、車に乗せるのを手伝ってくれたのだ。

そんなマリ子がバルドを見間違えるはずもない。

その上、私がマリ子の言う事をふざけた戯れ言と一笑に付すわけにはいかない理由もあった。

マリ子とは長年付き合って来たが、バルトの亡くなる3か月程前、ウッシーが天寿を全うした時に、初めて、マリ子には不思議なチカラが宿っているという事を知ったからであった。

ウッシーが亡くなった後、私にはどうしてもウッシーがまだ天に上がっておらず私達の周辺にいると強く感じていた。
居間の一定の場所にウッシーの存在を感じた。
そして、庭の枝垂れ柳の樹の下は死の直前、不自由な後ろ足を私がサポートして歩かせると、必ずその樹の下で好んで安らっていたためか、その場所には、殊更強くウッシーの存在を感じた。
それは、多分、今までいたものが急にいなくなったから、私のもっと一緒にいたかったという強い願望がそう感じさせているのだろうと思っていた。

  DSCF2265_convert_20130216205439.jpg


が、マリ子がウッシーの死の直後に我が家を訪ねて居間に入った瞬間に、

    「あ、ここには何かいる」

と言うものだから、私も軽い気持ちで、

    「それはウッシーですよ」  と応えたのだ。

しかし、何故そんな事をマリ子が感じたのかわけを問いただした時、その時、初めてマリ子は自分自身のみならず、彼女の姉達も皆一様に人の死後の魂を感じたりその姿を見たり、また体に憑依されたりする不思議なチカラ(これを私は何と表したらいいかわからないのだが、多分、一般的には霊感体質とか言うのであろうか)が備わっているというのである。
今から3年前の事であるから、マリ子と私が知り合ってから15年の月日が経っているというのに、私にとっては初めて知るマリ子の不思議なチカラであった。

そして、ウッシーの死後10日程経ったであろうか、私はもっとウッシーの存在を感じていたかったのにも拘らず、ウッシーの気配は、もう居間にも、庭の柳の樹の下にも、どこにも一切、感じる事が出来なくなっていた時に、またもやマリ子が我が家にやって来たので、

     「何か感じるか」と聞いたところ、

     「もう何も感じない」という答えが返って来た。


だから、今回、バルトが死後三日経ってから、マリ子やメルモのところに現れたという彼女の話にも、そうか、そんな不思議な事もあるものなのだと自然に納得している自分がいたのであろう。

しかし、私は一切、霊魂を見る事が出来ないからマリ子のところに現れたのは不思議はないとしても、一体、バルトは何が伝えたくてマリ子の家でメルモのベッドに乗っていたのだろうか。

その問いの答えは、その時は私にもマリ子にも見いだせないままであった。

バルトが引っ掻いていた茶色いベッドは、実はバルトが亡くなった日に、バルトが一度も使っていなかった物をメルモにとあげた物だった。
メルモはたいそうそのベッドが気に入って、二日間は夜もそのベッドで寝ていたが、バルトが現れたその晩に限って、メルモはマリ子のベッドで寝ていたというのである。

が、バルトはそのベッドには何の執着も持たない。


そんな話を伝えて、サンマを食べ終わったマリ子は帰って行った。


次の日に、居間に積み上げたクッションをしまおうとしている時に、
突然、電気に打たれたかのように、一瞬にして私は理解したのだった。

何故、バルトはメルモのベッドに乗っていたのか、
私に何を伝えたかったのか。

私は突然、理解したのである。


犬達のクッションが何もない伽藍堂のようになってしまった居間を見る度、猛烈な悲しみに襲われている私に、バルトはきっとこう伝えたかったに違いない。


     「お母さん、僕はまだ、ここにいるから、
      僕のクッションをしまわないでね。
      それに、クッションがあった方が
      お母さんは寂しい気持ちが少しはしないと思うよ。」
  と。


クッションをかたずけている手を急に止め、私はもう一度、今までバルトやウッシーが生きていた時と同じように、同じ場所にクッションを敷き直した。

すると、バルトがいなくなった悲しみは少しも薄れはしないが、少なくとも空虚な空間を感じなくても済んだ。



それから、数日が過ぎ、バルトの死を知り、その死を悼んでくれる沢山の友人達が入れ替わり立ち代わり綺麗なお花を携えて、愛犬を連れて我が家にやって来てくれた。

何日にも渡って、何人も、何頭も来てくれた。



驚くべき事には、友人達の犬達はどの子もみんな私の家の居間に入るや否やそのクッションを見つけ喜こんでそこに寝そべるのだった。

     
     まるでそこが、以前から決められた自分の場所だと言わんばかりに。
     
     皆、安心して、寛いでは帰って行ったのだった。




それは、まるでバルトが、多くの犬達を私の家のクッションまで道案内をして連れてくるかのようだった。

     お母さん・・・ね、寂しくないでしょう?







 

押しとけ 

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